カンボジア唯一の国際等級「4F」空港であるテコ・インターナショナル空港(KTI)が、総工費15億ドルをかけて建設され、9月9日に運航を開始しました。国家の新たな玄関口として国内外のフライトを受け入れ、カンボジアの航空・経済発展に大きな一歩を刻みました。フン・セン上院議長は「国家の誇りであり、新しい国際ゲートウェイだ」と称賛し、フン・マネット首相も「観光・経済・外交をつなぐ重要なインフラ」と述べました。初便となったエアカンボジア機は中国から到着し、水のアーチと伝統舞踊「チャイヤム」で歓迎されました。
首都プノンペンから約20km離れたカンダール州とタケオ州にまたがる約2,600haの敷地に建つこの空港は、エアバスA380やボーイング747-8といった大型機の離着陸が可能です。第1期では年間1,300万人の旅客と2万6,000トンの貨物を扱う能力を備えます。国民の多くはSNSで開港を誇りに思う声を上げ、政府は今後この空港を地域ハブへと発展させる計画です。正式な開港式は10月20日にフン・マネット首相によって行われる予定です。

アンコールワットで春分と秋分の時期にだけ見られる特別な光景「エクイノックス・サンライズ」を一目見ようと、約2万人の観光客が集まりました。午前5時頃から、多くの人々が北側の池の周囲やテラスに並び、黄金色の太陽光がアンコールワットの中央塔を貫く瞬間をカメラに収めようと息をのんで待ち構えました。観光客の多くは「何度も訪れたが、この光景は初めて」「水面に映る朝日と寺院のシルエットが神秘的で、一生忘れられない」と感動を語り、世界でも類を見ない壮大な眺めだと絶賛しました。アンコール遺跡を管轄するアプサラ機構の自然・文化観光局長セン・ソテアラ氏によると、今回は国内外合わせて1万9,000人以上が訪れ、そのうち外国人観光客は1,307人、国内観光客は1万8,101人にのぼりました。この「エクイノックス・サンライズ」は年に2回、春分(3月21〜23日)と秋分(9月21〜23日)の期間だけ見られる自然現象で、昇る太陽がアンコールワットの中央塔と完全に一直線に重なる神秘的な瞬間として知られています。

カンボジアとベトナムは、プレイベン州とタイニン省を結ぶ新たな国際国境検問所「タンナム=ムンチェイ国境ゲート」を10月下旬に開設する予定です。これにより、両国間の物流・観光・人の往来が円滑になり、経済・貿易のさらなる発展が期待されています。8月29日に行われた両国当局者の会合で、開設に関する正式な合意が署名され、式典準備や安全対策、通関体制の調整が進められています。
この国境ゲートは、カンボジアが原材料を供給し、ベトナムが加工拠点として機能する新しい経済連携のハブとなる見通しです。ロジスティクス・サプライチェーン協会のチャンダラ会長は、「新しい国境ゲートは両国間の供給網を強化し、観光や人の移動も促進する」と述べ、近年タイとの国境貿易が一時閉鎖されている状況下で、ベトナムとの新ルートが貿易多角化に寄与すると強調しました。
また、カンボジア側の加工産業がまだ発展途上にあるため、原材料輸出は現実的な解決策だと説明し、今後の投資拡大とともに国内加工能力の向上が進めば、より高い付加価値を獲得できるようになると述べました。

トヨタ通商株式会社は、2026年初頭にカンボジアで自動車部品やアクセサリーの生産、技術者育成を目的とした「トヨタアカデミー」を開設する予定です。同社の原田茂CEOが大阪で行われたチア・ニムル商業相との会合で明らかにしました。アカデミーは労働職業訓練省の支援を受けて運営され、自動車産業における人材育成と技術移転を推進します。ニムル商業相は、トヨタのカンボジア進出により多くの雇用が創出され、技術移転が進んでいることに謝意を表明しました。
カンボジアでは現在、トヨタを含むフォード、ヒュンダイ、キアなど6つの自動車組立工場が稼働しており、輸入依存の軽減と国内産業育成が進められています。また、中国のBYDも2025年内の稼働を目指し、シアヌークビルでEV組立工場を建設中です。

日本のグリーン・カーボン社は、今後10年間でカンボジア国内の8〜10州、合計50万ha以上の農地を対象に、約2,000万トンのCO2削減を目指す大型プロジェクトを進めています。同社は水田からのメタン排出を減らす「AWD(交互かんがい)」技術などを導入し、環境にやさしい米作りを推進しています。バッタンバン州では2025年の雨季から1000ha規模の本格的なプロジェクトを開始し、前年の試験導入ではメタン排出を大幅に削減しながら収量も増加する成果を上げました。
グリーン・カーボン社は東京に本社を置く環境系スタートアップで、自然由来のカーボンクレジットを生成・販売する企業です。人工衛星データを活用して効率的に現場を監視し、透明性の高い管理を行っています。現在、国際農研(JIRCAS)が主導する日本政府の国際共同研究プロジェクト「SATREPS」にも参画しており、カンボジア王立農業大学とも共同研究を進めています。同社のプロジェクトは、日本とカンボジアが2014年に締結した「JCM(二国間クレジット制度)」の枠組みに基づいて進められており、すでに環境省と連携して正式登録の手続きを進行中です。カンボジアでは農業由来の温室効果ガス排出の半分以上が稲作から発生しており、この取り組みは環境対策と農家の収益向上を両立させる注目の事例となっています。

日本の物流業界で深刻化するドライバー不足を背景に、カンボジア人ドライバーの採用が本格化しています。日本メディアによりますと、日本では2023年時点で国内トラック運転手の約半数が50歳以上、経験者の大量退職と若年層の敬遠により人手不足が急速に進行し、2024年4月から始まったトラック運転手の残業時間規制により「2024年問題」が顕在化しています。現在2,800人のドライバーを雇用するアサヒロジスティクス人材本部採用育成グループの井上グループ長は「業界全体で人材不足が大きな課題。採用強化や働き方改革を進めている」と述べました。日本政府も特定技能制度の拡大を進め、外国人労働者の受け入れを強化しています。
外国人ドライバー支援機構の小林社長は、「カンボジアの交通法規は日本の支援を受けて整備され、日本式の交通インフラが整っている」と指摘し、プノンペンに設立した教習所を通じて、日本で即戦力となるカンボジア人ドライバーの育成を推進しています。また、カンボジアと宮城県は昨年、労働協力の覚書を締結し、技能実習生や労働者の受け入れ枠を拡大しています。

タイ軍によるカンボジア民間人への攻撃が波紋を呼び、タイ製品の不買運動が急速に拡大しています。バンテアイミンチェイ州で、カンボジア農地に設置された鉄条網を撤去しようとしたタイ兵が民間人を攻撃し、女性や僧侶を含む少なくとも23人が負傷しました。この事件を受け、SNS上では「タイ製品に費やされる我々の1ドル1ドルが、私たちに対するさらなる攻撃の資金源となるリスクがあります」と拡散され、タイ製品を買わないという運動が拡大しています。
これは、7月29日にタイ軍がカンボジア兵20人を拘束し、8月1日にわずか2人だけを解放した事件に続くもので、停戦合意(7月28日・マレーシア)を無視した敵対行為として非難の声が上がっています。
首都プノンペンから地方の市場に至るまで、消費者は製品ラベルを確認し、タイ製品を避けてコストが高くても国産品やベトナム・中国製品を選ぶ動きが広がっています。タイ資本の卸売企業Makroでは来店者が通常の15%に激減しました。経済研究者チェイ・テック氏は、「この不買運動は一時的な感情ではなく、国の尊厳を守る経済的抵抗である」と強調し、政府と企業に対し、タイ製品の輸入停止と国境検査の厳格化を求めています。

カンボジア商業省は9月30日から、商標登録の完全デジタル化システム “Paperless Trademark Registration System” を正式に導入しました。これにより、商標の申請から証明書発行までの全工程がオンラインで完結し、従来の紙ベース手続きが不要になります。商業省は発表の中で、同制度が「効率性と透明性を高め、企業や代理人にとってより便利で迅速な登録を可能にする」と説明しています。ニムル商業相は、「行政手続きの自動化や電子ライセンス制度の整備を進め、コストと時間を削減しながら、国内取引と民間セクターの発展を促進していく」と述べ、商業省のデジタル改革をさらに加速させる方針を示しました。
商標登録は、製品やサービスのブランド価値を高め、企業が市場で独自のアイデンティティを確立するための重要な手段とされています。2024年には、9,412件の商標が新たに登録され、前年比9.2%増となりました。今回の電子化は、カンボジアのビジネス環境を一層近代化し、国内外の事業者にとって魅力的な投資・貿易拠点を目指す取り組みの一環です。

日本はカンボジアにおける5G通信網の整備と今後の通信インフラ開発を引き続き支援する方針を示しました。プラク・ソコン副首相兼外相は、ニューヨークで開催された第80回国連総会の場で、岩屋毅外務大臣と会談し、両国の経済協力強化を確認しました。日本企業のNTTドコモやNECはすでにカンボジアで無線ネットワーク構築の共同事業を開始しており、カンボジアの5G導入に向けた基盤整備が進んでいます。5Gは製造業、医療、農業、教育など多分野の発展を促進し、海外直接投資(FDI)の増加にもつながると期待されています。両国は2025年5月に「日カ経済共創パッケージ」を立ち上げ、シアヌークビル港の近代化、デジタル化、人材育成、グリーンエネルギー、中小企業支援などを重点分野として協力を進めています。日本はODAを通じてシアヌークビル港をASEAN有数の物流拠点へと発展させる支援を続けており、デジタル経済化においても重要なパートナーです。また、カンボジア中央銀行総裁チア・セレイ氏は、日本企業ソラミツの技術支援により国内決済システム「Bakong」が成功したことを高く評価しています。

日本の電子部品大手ミネベアミツミは、カンボジア・プルサット州の経済特区内で2024年9月より建設を進めていた第4工場を、2025年10月に稼働開始する見通しです。敷地面積50ha、総投資額は約2億500万ドルで、モーターやセンサー、アクチュエーターなど多様な電子部品を生産予定とのことです。2011年の進出以来、ミネベアミツミ社はプノンペン特別経済区に3工場を展開し、累計投資額は約7億2500万ドルに達しています。今回の新工場開設により、約9,000人の従業員が電子・電気機器や自動車部品製造の技能を高める機会が得られ、雇用創出と技術移転が期待されています。カンボジア開発評議会(CDC)のチア・ヴティ事務局長は「政府は引き続き外国投資家を支援する」と述べ、同社の長年の協力関係を称賛しました。ミネベアミツミの継続投資は、カンボジアの製造拠点としての信頼性と投資環境の安定性を象徴するものといえます。

最後に、2025年10月1日のカンボジアの最新銀行金利はこちらです。

Bank’s Name
銀行名
Term Deposit / Maturity (USD)
定期預金金利/満期受取り(米ドル建)
1年2年3年4年5年
ABA Bank2.25%2.25%2.25%
ACLEDA Bank Plc.3.65%3.75%3.80%3.85%3.90%
Canadia Bank plc.4.00%4.00%4.05%4.05%4.05%
Sathapana Bank Plc.4.50%4.50%
Cambodian Public Bank Plc.2.75%
HATTHA Bank Plc.4.25%4.50%4.50%4.50%4.50%
Maybank (Cambodia) Plc.3.65%
3.15%
3.65%
3.15%
3.65%
3.15%
J Trust Royal Bank3.75%
Vattanac Bank3.50 %
Prince Bank Plc.4.50%
SBI LY HOUR Bank5.00%5.00%5.00%5.00%5.00%
Phillip Bank Plc.4.50%4.50%4.50%
Woori Bank5.00%5.25%5.35%
Wing Bank4.50%4.50%5.50%5.50%5.50%
PPC Bank4.50%4.70%4.80%4.90%5.00%

※上記は2025年10月1日時点の米ドル建定期預金金利であり、金利は税引き前の年利率です。最新の金利及び詳細は各銀行の公式サイトをご確認ください。一部の金融機関を抜粋して一覧にしております。