米ゼネラルモーターズ(GM)は、ASEANで唯一カンボジアにシボレー車の組立権を付与しました。これにより、首都プノンペン近郊に新設されたTH Automotive Manufacturing社の工場で、年間1万〜1万2千台のシボレー車を生産予定です。投資額は1,900万ドル、雇用は500〜1,000人規模を見込んでいます。
今回の進出は、カンボジアの産業基盤と労働力への国際的信頼を示すもので、国内市場のみならずASEAN域内輸出も視野に入れた戦略的展開です。政府は投資環境の安定化や米国との貿易交渉による関税引き下げなどで産業振興を後押ししており、自動車関連のバリューチェーン拡大や部品輸出拠点化に向けた取り組みを強調しています。
カンボジアではすでにトヨタ、ヒュンダイ、フォードなど6社が現地組立を行っており、輸入依存を減らしながら自動車の普及を進めています。

カンボジアでガソリンスタンド事業を展開していたPTTの元オーナーが、新ブランド「Peace Petroleum Cambodia(PPC)」を正式に発表しました。同社は、従来のPTTブランドでの営業を終了し、順次PPCブランドへ移行することを通知しています。現在、全国で35カ所のスタンドを保有しており、そのうち31カ所が稼働中、4カ所が建設中です。新ブランド立ち上げにあたり、カンボジア政府の方針に沿った燃料供給ルートや発注システム、輸送施設、経営体制、設備の再整備を進めており、各拠点には新しいロゴや事業スタイルが導入される予定です。この移行には少なくとも3か月を要し、その間は既存ブランドの燃料在庫を調整しつつ、新体制への準備を進めます。同社は、法的対応や事業継続性を確保しながら、旧ブランドの石油製品を段階的に整理し、利用者の安心を重視した調達方針を取ることを明らかにしました。

カンボジア国立銀行(NBC)は、シンガポール・日本・インドとの二国間QRコード決済を近く開始予定で、すでにマレーシア・中国・韓国・ベトナムとも連携を進めています。新決済システム「バコン」により、カンボジア人が海外で、また外国人がカンボジア国内でQR決済を利用できる環境が整い、旅行やビジネスの利便性が大幅に向上します。
米ドル依存のリスクを背景に、NBCは自国通貨リエルの利用拡大を重視しており、ASEANおよびASEAN+3における金融協力を強化しています。国際決済銀行(BIS)の「NEXUS」プロジェクトへの参加も進め、将来的には中央銀行デジタル通貨(CBDC)を含む国際決済の高度化を視野に入れています。これにより、外国投資家にとっても為替コストや送金の効率化が期待され、カンボジア市場の投資環境改善に直結する可能性があるとされています。

カンボジア産業・科学・技術・イノベーション省大臣は今月、日本から北九州市代表団を迎え、翌日のタクマオ浄水場竣工式を前に協力を称賛しました。この事業は日本の無償資金協力により、北九州海外水ビジネス協会(KOWBA)が実施しています。特別目的会社(SPC)方式を採用し、日本側が10年間建設・運営・維持を担った後にプノンペン水道公社に引き渡す仕組みで、先進技術と運営ノウハウを活かし増大する水需要に応えます。大臣は、このモデルが今後の投資の基準となり、日カンボジア間の信頼強化につながると強調し、デジタル水管理基盤や研究開発への投資を北九州企業に呼びかけました。KOWBA副会長の佐藤祐也教授は、JICAとの研究協力や小規模水供給・デジタル分野での経験を紹介し、今後も長期的に支援する意向を表明しました。今年10月には北九州とプノンペンの姉妹都市提携10周年を迎えます。

カンボジアはオーストラリアとの貿易関係強化において新たな節目を迎えました。ロイヤル・トラスト・トレーディング社(RTT)が、カシューナッツやドライマンゴー、ジャックフルーツ、バナナチップス、タロイモチップスなど計12トン超を初めてオーストラリアへ輸出しました。これは豪州政府支援のCAPREDプログラムによる輸出準備研修や市場連携支援の成果で、第2弾となる拡大出荷も予定されています。
ローンチイベントには豪州大使館、商業省、クメール・エンタープライズの代表らが参加しました。デレク・イップ駐カンボジア豪州大使は、カンボジアのLDC卒業や国際市場参入支援に引き続き尽力すると表明しました。商業省のサムヘン・ボラ次官は、世界貿易環境が不安定な中で農産加工品輸出の拡大は経済回復力を高める重要な一歩だと評価。RTT会長チン・ソファル氏も、今回の成果はカンボジア企業の国際対応力を示すもので、さらなる輸出拡大への期待を語りました。両国の2024年の貿易額は11億ドルに達し、その7割以上をカンボジアからの輸出が占めています。

カンボジア開発評議会(CDC)は今月、投資プロジェクトの登録をオンラインで行う「カンボジア投資プロジェクト管理システム(cdcIPM)」と電子署名・電子印章の活用について、政府機関や地方当局向けに研修を実施しました。サン・チャンソル副首相は、同システムが行政手続きの効率化や書類偽造防止、透明性向上に寄与すると強調。投資家や担当者は世界中どこからでも申請や承認が可能で、自身も欧州や米国出張中に承認手続きを行った事例を紹介しました。
2025年1~7月の投資承認件数は440件、総額67億ドルで31万2千人分の雇用を創出し、過去30年で最多を記録しました。cdcIPMは2024年11月に正式稼働し、382件の申請のうち既に全ての328件が承認されています。リアルタイム追跡やQRコードによるセキュリティ機能も備え、投資優遇案件の一元管理が可能です。カンボジア政府はデジタル経済・社会政策枠組み(2021–2035)やデジタル政府政策(2022–2035)の下、教育・人材育成を含むデジタル化を国家戦略として推進し、投資誘致と透明性向上を目指しています。

カンボジアの新しい玄関口となる「テチョ国際空港」は9月9日の開業を前に、運用準備評価(ORAT)演習を開始しました。国家基準の一環であるこの訓練には約100人のボランティアが参加し、チェックインから保安検査、搭乗、到着に至るまで一連の運用を検証しました。
新空港は、最新の自動チェックイン・セルフバゲージドロップ機、顔認証を備えた出入国ゲートなど、最新鋭の保安検査設備など最新設備を導入し、待ち時間の短縮が見込まれています。また、エアバスA320による試験飛行が行われ、滑走路や設備の安全性も確認されました。総工費は約15億ドル、敷地面積は約2,600ヘhaで、国際民間航空機関(ICAO)の最高水準である「4F」規格に適合します。
新空港はプノンペン中心部から南方約20キロに位置し、ターミナルはクメール建築を現代的に取り入れた設計で、出発ロビーは「光の大聖堂」と呼ばれる明るく開放的な空間が特徴的です。第1期の年間旅客受け入れ能力は1,300万人規模。飲食店や免税店も充実される予定で、将来的には第2期拡張で3,000万人規模まで拡大し、東南アジアのハブ空港を目指しています。プノンペン訪問を予定の方は、9月9日以降は新空港発着となるため、交通アクセスや空港施設の利用方法を事前に確認しておくと安心です。

タクマオ浄水場とコーノレア取水場が開設し、プノンペン南部とカンダル州タクマオ市への給水能力が大幅に強化されました。日本の無償資金協力と先端技術を用いたタクマオ浄水場は日量3万㎥を供給可能で、プノンペン水道公社(PPWSA)の総処理能力を100万㎥超に拡大し、さらに多くの家庭や産業需要に応える見込みです。一方、2,800万ドルを投じたコーノレア取水場は日量46万㎥の能力を持ち、ニロート浄水場や新空港開発地区への安定供給を支えます。
ヴィソット副首相は「すべての人に清浄水を」の取り組みとSDGs達成に向けた重要な一歩と強調。産業科学技術革新省は、給水量が2018年の3億900万㎥から2024年に5億3000万㎥へ増加、給水世帯も約78万から298万へ拡大したと報告しました。上野篤志駐カンボジア日本大使は、1990年代からの日本の支援が「プノンペンの奇跡」を実現し、今後地方都市にも恩恵が広がると述べられました。

カンボジア人民党(CPP)のフン・セン党首とベトナム共産党(CPV)のト・ラム書記長は8月14日、ビデオ会議を通じて二国間貿易の強化について協議しました。カンボジアとベトナムの両国は将来的に200億ドル規模の貿易達成を目標に掲げ、持続的な経済成長と投資促進を確認しました。
フン・セン氏は、党や政府、議会レベルでの協力関係が経済・貿易発展の安定的基盤となっていると強調し、2025年1〜7月の二国間貿易額は約70億ドルで、カンボジアは38億ドルを輸出、32億ドルを輸入し、ベトナムは第3位の輸出市場となっているとのことです。農産品の対ベトナム輸出や生活必需品の輸入が地域経済を支え、特にタイとの関係悪化を受けた戦略的重要性が増しています。
一方、ラム氏はカンボジアの経済発展を高く評価し、国際紛争の平和的解決とASEANの役割を強調しました。分析者のセウン・サム氏も、両国は経済格差を超えて関係深化が不可欠だと指摘しました。

カンボジアは、国の経済規模に対してどれだけ効率的に外国直接投資(FDI)を呼び込んでいるかを示す指標である “グリーンフィールドFDIパフォーマンス指数”で、2025年のアジア太平洋1位、世界9位にランク入りしました。カンボジアは2024年に前年より13.5%増のFDIプロジェクトを獲得し、特に中国が最大の投資国で、製造業を中心にBYDのEV組立計画などが進展しました。2025年前半だけで58億ドルの投資を承認し、255,000人の雇用を創出。自由貿易協定も投資誘致の追い風となっています!

最後に、2025年9月1日のカンボジアの最新銀行金利はこちらです。

Bank’s Name
銀行名
Term Deposit / Maturity (USD)
定期預金金利/満期受取り(米ドル建)
1年2年3年4年5年
ABA Bank2.50%
2.25%
2.50%
2.25%
2.50%
2.25%
ACLEDA Bank Plc.3.65%3.75%3.80%3.85%3.90%
Canadia Bank plc.4.25%
4.00%
4.25%
4.00%
4.30%
4.05%
4.30%
4.05%
4.30%
4.05%
Sathapana Bank Plc.4.50%4.50%
Cambodian Public Bank Plc.3.00%
2.75%
HATTHA Bank Plc.4.25%4.50%4.50%4.50%4.50%
Maybank (Cambodia) Plc.3.65%3.65%3.65%
J Trust Royal Bank3.75%
Vattanac Bank3.50 %
Prince Bank Plc.4.50%
SBI LY HOUR Bank5.50%
5.00%
5.75%
5.00%
6.00%
5.00%
6.25%
5.00%
6.25%
5.00%
Phillip Bank Plc.4.50%4.50%4.50%
Woori Bank5.00%5.50%
5.25%
5.60%
5.35%
Wing Bank4.50%4.50%5.50%5.50%5.50%
PPC Bank4.50%4.70%4.80%4.90%5.00%

※上記は2025年9月1日時点の米ドル建定期預金金利であり、金利は税引き前の年利率です。最新の金利及び詳細は各銀行の公式サイトをご確認ください。一部の金融機関を抜粋して一覧にしております。