日本の大手総合商社丸紅が、カンボジアの水道インフラ整備への投資に強い関心を示しました。都市部だけでなく地方にも安全で安価な飲料水を届ける取り組みを支援する意向です。
丸紅は、同社が世界各地で展開している水道事業で、フィリピン・マニラ首都圏では1,000万人、チリでは200万人、その他地域でも100万人に水を供給している実績を紹介し、カンボジアでもこうした経験を活かして都市部から地方に広がる水需要に対応していきたいと説明しました。
ヴァンディ大臣は、家庭レベルでの水道管接続を拡大し、都市部だけでなく農村部へも公共水道網を広げるという政府方針を説明しました。丸紅には長期的な視点で投資を検討するよう求め、人口増加や産業発展に対応できるよう、浄水場や配管網の整備、さらには官民パートナーシップ(PPP)など柔軟な協力モデルも検討するよう提案しました。丸紅は、機械、エネルギー、化学品、食品、繊維、金属、資源など幅広い事業を展開しており、水道事業もその中の重点分野のひとつです。

カンボジア国立銀行(NBC)と日本決済推進協議会(PJA)は、旅行者が日本でQRコード決済できる新サービスを今月7月に正式に開始しました。これにより、カンボジアの旅行者はBakong(バコン)やアクレダ銀行、サタパナ銀行のアプリから日本全国にあるJPQRコードを読み取り、リアルタイムで支払いが可能になります。
この発表は大阪万博2025会場で行われ、NBCのチア・セレイ総裁は「単なる技術的進歩ではなく、持続的かつ包摂的な成長を支える仕組みだ」と強調しました。今回のフェーズ1ではカンボジア側から日本での決済が可能となり、今後は日本からカンボジアでの利用も予定されています。利用者にとっては現金両替やカード利用の煩雑さが減り、観光やビジネスがよりスムーズになる見込みです。今回の取り組みは両国の経済・文化交流をさらに加速させる大きな一歩といえます。

カンボジアでEV普及が急速に進むなか、カンボジア電力庁(EAC)は今月、電気自動車(EV)充電ステーション向けの電気料金を正式に導入しました。交流(AC)充電は最大1kWhあたり1,050リエル(約0.26ドル)、直流(DC)急速充電は1,350リエル(約0.34ドル)で設定されました。
AC充電は自宅や職場などで一般的に利用され、低コストで時間をかけた充電に適しています。一方、DC充電は公共ステーションでの急速充電を想定しており、短時間で充電できる利便性があるものの料金は高めです。今回示された価格は上限であり、充電事業者はそれ以下の料金を設定することも可能です。
この施策の背景には、2024年のEV登録台数が前年比620%増の2,253台に達するなどの急成長があり、特に中国のBYD、日本のトヨタ、米国のテスラが人気です。現在全国に21カ所の充電ステーションのみのため、フン・マネット首相は拡充を強く呼びかけています。ガソリン車に比べて走行コストは約4分の1に抑えられるため、今後利用者にとってより便利で経済的な環境が整うことが期待されています。

カンボジア労働職業訓練省(MLVT)の報告によると、2023年8月から2025年6月までの22カ月間にカンボジア国内の工場・企業数は5,356件増加し、40,300件から45,656件へと13.29%の成長を記録しました。縫製業は1,466件から1,682件へと14.7%増加、非縫製業も13.2%伸び、国内経済の拡大を裏付けています。2025年上半期だけでも858件増加し、前年同期比で大幅な伸びを示しました。
MLVTの報道官ソン・メサ氏は、この成長はフン・マネット首相率いる政府への国内外投資家の信頼の表れだと強調。政府は投資環境整備と技能訓練に注力し、特に産業分野では21万~22万人規模の労働需要が生じていると述べました。また観光業でも人材不足が課題となっています。社会経済研究者チェイ・テック氏は、第7期政府の投資誘致戦略と改革努力が成果を挙げていると評価し、特に対米関税引き下げ交渉が成功すればさらなる外国直接投資(FDI)が見込まれると指摘しました。

カンボジア財務省(MEF)は、2025年7月18日付で「プラカス496号」を発出し、キャピタルゲイン課税(CGT)制度を正式に導入しました。対象となるのは株式や債券、不動産、知的財産、外貨などの資産で、売却益に課税されます。制度は2025年9月1日からリース契約、投資資産(株式を含む)、のれん、知的財産、外貨に適用されます。不動産については猶予期間を設け、2026年1月1日から適用されます。課税率は一律20%です。また、不動産では売却価格から80%を一律控除できる方法も認められ、効果的な税負担軽減が可能です。

DFDLカンボジアのパートナー、クリント・オコンネル氏は、今回の制度がM&Aや株式譲渡契約において新たな配慮を必要とすると指摘しました。特に株式譲渡やグループ再編では、保証条項や取引保険、二重課税防止協定との整合性が重要になると述べました。CGTは従来の「みなし配当源泉税」に代わる位置付けであり、M&A活動自体への大きな阻害要因にはならないとの見解も示しました。
一方、個人に対しては不動産売却益課税が初めて導入されるため、新税制がどのように影響するか注目されるとともに、控除や免税規定を含めた十分な理解が求められるとしています。今回の制度導入は、投資環境の透明性を高め、長期的に安定的な資本誘致を目指すカンボジアの税制改革の一環で、国際基準に沿った課税体制の強化に踏み出したといえます。

カンボジア国立銀行(NBC)は、国内の銀行や両替所に対し、タイバーツからカンボジアリエルへの両替を市場レートで提供するよう正式に通知しました。これは、タイから帰国するカンボジア人労働者の経済的負担を軽減し、公平で透明性の高い両替環境を整えることが目的です。
NBCによれば、すでにアクレダ銀行(ACLEDA Bank)の支店では対応が始まっており、今後は全国の銀行や両替所でも順次実施される見込みです。アクレダ銀行の幹部は「当行では毎朝公表している市場レートに基づいてバーツ両替を行います。全国の支店で対応できますので、安心してご利用ください」とコメントしました。
この取り組みにより、帰国する労働者だけでなく、旅行者にとっても空港や国境付近での両替がより便利で安心できるものとなります。非公式な両替所に頼らず、公式レートで透明性の高い両替が受けられる点は、観光客にとっても大きな安心材料です。NBCは「すべての銀行や両替所が協力し、国民のために公平な両替サービスを提供することが、連帯と支え合いの精神につながる」と呼びかけました。

カンボジアとタイの国境地帯では緊張が高まっていますが、両国間の直行便は通常通り運航されており、貿易や観光に不可欠な航空アクセスは維持されています。カンボジア民間航空局(SSCA)は、一部の航路が紛争地域を通過するため高度11km未満の便については迂回を実施しているものの、多くの路線は影響を受けていないと説明し、安全確保を最優先にしつつ効率的な運航を継続する方針を示しました。
一方、タイ民間航空局(CAAT)も、制限区域は限定的であり、タイ発着便や国際便に大きな影響は出ていないと発表。欠航や大幅な遅延もなく、航空当局や軍との連携を通じて安全運航を徹底しているとのことです。今回の調整は最小限にとどめられており、両国の航空ネットワークは引き続きビジネス渡航や観光、貨物輸送を支える重要な役割を果たしています。

最後に、2025年8月1日のカンボジアの最新銀行金利はこちらです。

Bank’s Name
銀行名
Term Deposit / Maturity (USD)
定期預金金利/満期受取り(米ドル建)
1年2年3年4年5年
ABA Bank2.50%2.50%2.50%
ACLEDA Bank Plc.3.65%3.75%3.80%3.85%3.90%
Canadia Bank plc.4.25%4.30%4.30%4.30%4.30%
Sathapana Bank Plc.4.50%4.50%
Cambodian Public Bank Plc.3.25%
3.00%
HATTHA Bank Plc.4.50%
4.25%
4.75%
4.50%
4.75%
4.50%
4.75%
4.50%
4.75%
4.50%
Maybank (Cambodia) Plc.3.65%3.65%3.65%
J Trust Royal Bank3.75%
Vattanac Bank3.50 %
Prince Bank Plc.4.50%
SBI LY HOUR Bank5.50%5.75%6.00%6.25%6.25%
Phillip Bank Plc.4.50%4.50%4.50%
Woori Bank5.00%5.50%5.60%
Wing Bank4.50%4.50%5.50%5.50%5.50%
PPC Bank4.50%4.70%4.80%4.90%5.00%

※上記は2025年8月1日時点の米ドル建定期預金金利であり、金利は税引き前の年利率です。最新の金利及び詳細は各銀行の公式サイトをご確認ください。一部の金融機関を抜粋して一覧にしております。